前編はこちら
激安3Dプリンタ Kingroon KP3Sを購入した(前編) - PikaPikaLight
初めに
前編で購入までの経緯について説明しました。今回は実際に使ってみた様子をレポートします。
結論から言えばこのように自分で設計したデータを無事プリントすることができました。
予習
Amazonでポチったものが届くまでに2日かかる予定なので、その前にネット情報をみて予習することにしました。
まずはこれを薦めていらっしゃる@ReiyaSaltさんのnoteから拝見。
なるほど、どうやら私の購入したのはTitan仕様のKP3S 3.0という色々とバージョンアップされた後のモノのようです。ReiyaさんはTitanエクストルーダー単体を購入して換装するといった大変そう(でも楽しそう)な作業をしてますが、自分のはすでにその状態のが届くということですね。お得感。
もう少し予習。
「Kingroon KP3S」で検索トップに出てくるサイトが凄い情報量です。 KINGROON KP3S情報
Kingroon KP3Sに関しての基本から応用まで丁寧に記事にしてくれています。ざっと目を通して予習終了。こんなサイトがあるなら、安心です。
開封&組み立て
ポチって2日で届きました。思ったよりコンパクトな箱でした。(40.5x38x17.5㎝と箱に書いてありました)
PLAフィラメントの白と黒と3Mの3099ABというプラットフォームシートを同時購入しました。
いままでABS材しか使ったことなくて、初めてのPLA材です。
3099ABは以前使ったことがありその性能に惚れ込んだので最初から買っておくことにしました。
いざ開封。したもののいきなりのピンチ。
コンセントが三ツ口でした。考えれば当然ですが、何の準備もしてません。予習してたはずなのに。
もはやここまでと思いきや、ありました!エアコン用の三ツ口コンセントが。屋根裏的な部屋だったのでコンセントの位置も低く何とか接続することできました。
組み立て
組み立ては付属のマニュアル(怪しい日本語バージョン)に従って、支柱をベースに挿して2個のビス締めとZ軸スクリューを固定部品にはめてネジ締めするだけです。特にコメントすることすらない簡単さです。
マニュアルにはネジサイズM5x20と書いてありますが付属品はM5x16だったりしましたが、16でもちゃんと締まりましたので問題なしです。(正しいほうに修正して欲しいとは思います)
プラットフォームシート3099ABは最初から貼ってみました。(後述しますが、貼り方に問題ありでした)
レベリング
マニュアルに従って次はレベリング調整をします。
レベリングとはノズルとプレートの隙間間隔を調整する作業です。これまで扱った3Dプリンタ(7年前の数十万円の製品)でもしたことがあるので、覚悟はできてました。
タッチパネルの「レベリング」ボタンで開始です。ポイント1~5の5がセンターで、1~4は四隅でした。
まずは5(センター)がいいかと思います。ボタンを押すと動き出します。精密機械の動きにワクワクします。
調整位置にヘッドがちゃんと移動しました。が、隙間がすごくあいてます。黄色の調整ネジでどうにかなるレベルでないくらいあいています。
組み立てを間違えたかと焦りましたが、よくよく動きを見ると、Z軸の高さの基準になっているビスがありました。これを締めれば高さ調整ができそうです。しかしこのビスを締めるにはいったんヘッドを上にあげないと指で回せません。(ニッパとか使えばできそうですが)
仕方ないので「移動」メニューからZ軸を上方向へ移動させてから例のビスを締めてみました。そうするとレベリングでノズルの位置がちゃんと下がりました。いい位置になるまで何回か操作を繰り返しましたが、プレートに近接する位置にすることができました。
そのあとは四隅で調整することになりますが、初期状態は黄色のネジがほとんど締まっていない状態だったので、あらかじめ4つの黄色いネジをある程度締めておいたほうがいいです。締めるとプレートは低くなり、緩めると高くなりますが、レベリング調整ではある程度の隙間がある状態からプレートを高くして調整することになると思うので黄色のネジは締めておくほうがいいと思います。
四隅の調整を2周して完璧になりました。
サンプルデータの印刷
とりあえず何かプリントしてみたいと思い、付属品のSDカード(何の刻印もされていない怪しげなSDカード。16GB)に入っているサンプルデータ(Guardian-extruder.gcode)を付属品のPLAフィラメントでプリントしてみました。 フィラメントの「余熱」メニューから200℃くらいにノズルを温めておき、挿入部のレバーを押しながらフィラメントを差し込みます。 白のフィラメントを入れているのになぜか赤色のフィラメントが出てきました。メーカーで動作確認をした時の残りだと思います。 フィラメントも無事挿しこめたのでいよいよプリント開始です。動作音がうるさいという事前情報も見ましたが、自分的にはかなり静かなほうだと思います。同じ部屋で寝ることもできなくはないかな、いやちょっと無理かな位の音です。 めちゃめちゃキレイにプリントできました。想像以上の出来です。
オリジナルデータの準備
3D CADはDesignSpark Mechanicalを愛用しています。Windowsでしか使えませんが、商用利用も可能なフリーのCADです。こんな図形(145x127x25mm)を設計してSTL形式でエクスポートしました。
予習ではソフトはUltimaker Curaという無料ソフトを使う方法が載っていたので専用のソフトはないのかと思っていましたが、付属のSDカードの中にKingroonのソフトがちゃんと入っていました。これでSTLファイルを読み込んでGCODEファイルに変換することできました。
プロパティをざっと見てみましたが、そのままで行けそうな気がします。サポートもちゃんと生成できるようですが、今回のブツは垂直なのでサポートなしでOKです。サポート性能はまた今度試してみたいです。
GCODEファイルに変換してSDカードに保存します。で、そのSDカードをプリンタに入れてプリントする方式です。PCとUSB接続してプリンタさせることもできるようですが、マニュアルに「ただし、この方法は信号が干渉されやすく、接続がきれてしまうことがありますので、TFカードプリント方法を推奨します」と書いてあるので、素直にSDカードを使うのが無難です。
予習ではSDカードの挿入口の上下に隙間があるのでそこを埋めたほうがいいというM5Stackみたいなアドバイスがあったのですが、自分のは特に隙間ありませんでした。改良されたのかな。
フィラメントの交換
最初のプリントではおまけでついてきたフィラメントを使いましたが、今回は黒色のフィラメントを使いたいので、フィラメントの交換作業をします。
外すのは簡単でした。「余熱」メニューで200℃くらいに温めて、挿入口のレバーを押しながらフィラメントを引き抜くと抜けました。
挿入はちょっとてこずりました。「余熱」してから挿入するのですが、うまく吸い込んでいってくれません。焦りましたが、結局余熱が十分でなかったみたいで、しっかり予熱した後だとちゃんと挿入できました。
オリジナルデータのプリント
変換ソフトで完成時間も表示されていて7時間15分でした。寝る前にセットして、起きたら完成しているという憧れのスタイルを実践です。
ワクワクして起きしたら7時間で90%でした。8時間で完成しました。
プラットフォームシートの3099ABがちょっと浮いてしまいました。それでも造形物自体はシートから剥がれていないとこが3099ABの力です。#Kingroon_KP3S
— PikaPikaらいと (@KPmilk3) 2021年7月22日
いきなり大物をプリント中。7時間でようやく90%。
ちゃんと出来てますが、プラットフォームシートの3099ABがちょっと浮いてしまいました。それでも造形物自体はシートから剥がれていないとこが3099ABの力か。 pic.twitter.com/t4b2tyQDu2
シートが浮いたところはひずんでしまいましたが、出来はいいです。寸法もしっかりしていて、ターゲットの枠にいい感じではめ込めました。
これを使った作品は鋭意作成中です。
プラットフォーム
今回プラットフォームシート3099ABが浮いてしまったのでビルドプレートに関して調べたら、最初からマグネット式のビルドステッカーがついていてその上からシートを貼ってしまってました。これだと過熱が不十分だった可能性があります。
マグネット式のビルドステッカーは食い付きはいいが造形物を剥がすのが大変というコメントを見かけたので、ビルドステッカーは温存することにして、プレートに直接3099ABを貼るようにしたいと思います。当然レベリングをし直さなくてはいけないので、後日。結果はレポートしたいと思います。#Kingroon_KP3S
— PikaPikaらいと (@KPmilk3) 2021年7月23日
今気づきましたが最初からプレートについていたのはマグネット式のビルドステッカーだったのですね。その上にさらにシート貼っちゃってました😅
ビルドステッカーは温存して、プレートにシート貼り直したいけど、レベリングやり直すのが面倒😵💫 pic.twitter.com/A6zRkDpnbZ
フィラメントの保管
フィラメントが湿気に弱いことは身をもって知っています。湿気を吸ったフィラメントはノズルで温めたときに気泡が生じてノズルを詰まらせる原因となります。これに何度泣かされたことか。 ちなみに湿気を吸ったフィラメントをアルミの袋(紫外線防止)に入れて真夏の車の中に2時間ほど放置したら復活した経験があります。
とりあえず大きなタッパに乾燥材を敷き詰めてそこで保管することにしました。
感想
3Dプリンタは一度使うと離せない工具だと思います。設計であれこれ考えているときもCAD上の設計だけでは思いつかないことが、現物として手に取り使ってみることで新たなアイデアが浮かぶことが多々ありました。実際に私はそれで思いついたアイデアをもとに特許をとったりもしています。
とにかく2万円という価格はインパクト大です。これならやってみようという人も多いかと思います。自分レベルでも無事プリントすることできましたし。
この値段なら最悪壊れたら買いなおすという方法も考えられます。壊れた個所以外は部品取りしてスペアにしておけばいいです。
普通のプリンタは結構持っている家が多いと思いますが、3Dプリンタもそうなる可能性を感じました。
今のところ家族に内緒で使ってますが、子供にも使わせてみたいなと思います。
付記
記事を書いてる途中で気づきました。KP3Sって自分のTwitterのIDである @KPmilk3 と似ているではないか。この出会いは運命?(トゥンク)
ちなみに最初は”柿ピーミルク”というアカウント名だったのですが、途中でPiKaPiKaらいとに変えました。
ピーナッツ入り柿の種と牛乳のマリアージュが大好きなので名付けたのですが、早い段階で思い直して変更した次第です^^;